具体的な要件について
小規模宅地の特例適用のための要件は厳格に定められています。
小規模宅地の特例は、租税特別措置法で規定されている要件を、1つでも満たせない場合は適用ができなくなるという、納税者にとって非常に厳しい側面がございます。
具体的に小規模宅地の特例の要件について1つずつ確認していきます。
(小規模宅地の特例のことを以下、「同特例」といいます)
要件その1:宅地等を誰が利用しているか
宅地等を被相続人(死亡した人)が利用していた場合は、要件を満たします。
また宅地等を被相続人と生計を一にしていた人が利用している場合も、要件を満
たします。
特例を適用できる人
・被相続人
・被相続人と生計を一にしていた人
※注意 「宅地等」の「等」は借地権や地上権等を指します。
所有権がある土地だけに特例の適用は限定されておりません。
要件その2:宅地等を何に利用しているか
宅地等を事業の用または居住の用に利用している場合は、要件を満たします。
特例を適用できる用途
・事業の用に供している(以下、「特定事業用宅地等」といいます)
・居住の用に供している(以下、「特定居住用宅地等」といいます)
※注意 事業の用に供しているというのは、被相続人または当該被相続人と生計を
一にしていた親族の個人事業・特定同族会社の事業規模の貸付事業及び事業の規
模に至らない貸付事業を指します。小規模宅地の特例は適用できますが、「事業
規模の貸付事業、事業の規模に至らない貸付事業」については、以下、「貸付事
業宅地等」といい、別のくくりとなります。
要件その3:限度面積
・特定事業用宅地等(個人事業・特定同族会社の事業)の場合400㎡以下
・特定居住用宅地等の場合、330㎡以下
・貸付事業用宅地等(事業規模の貸付事業、事業の規模に至らない貸付事業)
の場合200㎡以下
なお、特定事業宅地等と特定居住用宅地等に供している宅地の場合、適用面積
について、それぞれの 区分における限度面積まで特例適用が認められておりま
すので、最大730㎡以下まで適用可能です が、貸付事業用の宅地の場合、以下
の計算式により適用対象面積が調整されます。
特定事業宅地等×200/400+特定居住用宅地等×200/330+貸付事業宅地等≦200㎡
おや、これを見たら小規模宅地の特例の適用要件の当てはめは難しいと聞いて
いたけれども、どうも簡単そうじゃないかと思われた方も多数いるのではないか
と思います。
慌ててはいけません。
上記記載事項は、同特例の基本事項を記載しただけであり、同特例には様々な
特別な要件、例外的な要件が定められており、一見、同特例の要件を満たしてい
るように見えるのにそうでない場合、またはその逆の場合も多々あります。
コラムNo.3では同特例の特別な要件について書きたいと思います。
所長・税理士 植田 浩行
税理士法人Dream24福岡支店